COLUMN 院長コラム

白内障手術は、日帰りか入院かどちらがいいの?

森井眼科医院の院長、森井勇介でございます。
院長コラムの第1回目は日常よく患者さんから質問される、「日帰り手術と、(1泊以上の)入院手術はどちらがいいか?」について述べたいと思います。
個人的な感触では、大病院で勤務していたときは「入院」希望が多く、個人医院で診療すると比較的「日帰り」希望が多いと感じております。
結論から先に言いますと、私は「日帰りはメリットがある」と考えております。
意外に思われたかたがおられるかも知れませんね。
10年近く前は、白内障の手術後、ほとんどの病院(医院)では、抗生物質の点滴をしておりました。点滴は1日1回でよい製剤もありましたが、大概は1日2回(朝・夕)でしたので、必然的に点滴期間は入院となっておりました。私も研修医の頃、点滴の当番になると、入院中の患者さんに点滴をして回っておりました。
しかし、白内障手術はもの凄いスピードで進化しております。あのときに比べ、超音波装置は比べ物にならないくらい水晶体を効率よく処理することができるようになりましたし、抗生物質の目薬もよくなり、点眼後眼内に薬物が浸透する濃度も上がりました。眼内レンズも折りたたんで挿入することが可能となり、傷口も3mm以下になりました。手術時間も短縮され、通常10分前後で終了できるようになりました。
このような進化に伴い、手術による体の負担及び炎症の度合いが、あの当時より遙かに低減しており、手術翌日から(個人差はありますが)、よく見えるようになりました。今は抗生物質の点滴は必要なく、当院を含めほとんどの病院・医院では、飲み薬と目薬だけで十分だというスタンスです。ということで、点滴加療の為に入院する必要はなくなりました。
患者さんがよく言われるのは、「入院したほうが安心だ。」\r\nという言葉です。実際のところ、特に重病患者さんが多く集まるような大病院では、それこそ抗生物質の点滴などをよく使用しており、耐性菌などの存在も危惧されます。
ちなみに抗生物質を多用しているのは、大病院の先生の治療方針が悪いわけではなく、重症患者さんが多い為に仕方がないことです。(たまに院内感染が発生すると、マスコミがこぞって病院叩きを行いますが、これは病院が悪いというよりは、重症患者さんや寝たきりで抵抗力が弱っている患者さんを多数かかえていれば、いたしかたない面があります。)
また病院によっては、すぐ隣のベッドに重症患者さんが、ゴホンゴホン咳きこんでいる状況も考えられます。個室なら問題は解決できそうですが、かなり部屋代が余分にかかりますよね。(^^;)
更に、入院と言えば聞こえはいいですが、言ってみれば非日常の空間に宿泊するわけです。手術当日はほとんどの場合眼帯をしており、慣れない場所で、片眼でものを見なければならない為、夜中トイレに行こうとした際などに転倒の恐れもあります。(実際、病院勤務医時代はたま~にありました。)
日帰り手術なら、住み慣れた家で枕を変えずに寝ることができますし、当院の場合、緊急用携帯電話番号をお渡ししておりますので、不安なことがあれば直接私に連絡していただければこと足ります。

まとめますと…
手術の進歩
抗生物質点滴は不要
片眼眼帯で、慣れない空間に宿泊する不安
院内感染

などの理由で、現在の白内障手術に関しては敢えて入院する必要はなく、日帰りで問題はないと判断しております。

私の方から一泊入院をお勧めする患者さんは、
遠方から来られ、翌日の通院に不安のあるかた
お独り暮らしで、家に帰ってから色々家事をしなければならないかた

などです。

勿論、これらは私の個人的な考え方であり、皆様に押し付ける気は毛頭ございません。大切なことは、ご自身が納得され、最も望まれる環境でリラックスして手術を受けていただくことです。特に女性のかたは、なんと言っても入院中は家事から解放されますので、「のんびりできた。」と非常に喜ばれるかたもおられます。

当院は、入院設備を有しておりますので、宿泊のご希望があれば入院していただけます。

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