disease 目の病気

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?

霰粒腫とは、「めいぼ」とも呼ばれます。その名の通り、目(まぶた)にやや硬いしこりができます。通常はそんなに痛くありませんが、経過中に急性炎症を起こすと痛くなります。マイボーム腺という目に油を分泌する所が詰まってしまい、おかゆのような分泌物が溜まってしこりが形成されてしまいます。

治療法が状況により変わる

まばたきの度に異物感がある場合

しこりがあり、まばたきの度に異物感があるだけの時は、ばい菌をやっつける抗生物質の点眼や、弱いステロイド剤(炎症止め)の点眼や軟膏のみで治る場合があります。ただ、この場合、治るといっても一時的に治まっているだけで、疲れやストレスが溜まったりすると、またブワ~っと大きくなってくることが多いです。何度も繰り返す場合は手術をした方が良いです。というか、手術をしないと根本的には治りません。

急性炎症を起こしている場合

もう一つのパターンは、上で述べた急性炎症を起こしておられる時です。患者さんは凄く痛いので、「早く切ってくれ~」と言って来院される方も多いです。しかし、実は炎症を強く起こしている時の方が、麻酔が効きにくく、治りも良くないものです。このような場合は、私はまず、点眼、眼軟膏に加え、抗生剤の内服、消炎鎮痛剤などを処方し、炎症を引くのを待って摘出手術をします。細菌感染を伴い明らかに膿がたまっている時は、メスや注射針で少しだけついて膿を出します。いきなり摘出術は基本的には行いません。

治療後のお話

摘出術は、私が医者になったばかりの時は、「皮膚側から切ると、傷あとが残ることもあるし、なるべくまぶたをひっくり返して結膜側から切りなさい。」と教えられておりました。当時は明らかに皮膚側にしこりがあるにもかかわらず結膜側から切開し、分泌物を出しておりました。

勿論、これできれいに治る場合もありますが、しこりの範囲を実際に見て摘出している訳ではないので、どうしても取り残すことも多かったのです。患者さん的には、一時的にしこりが小さくなり束の間の喜びは得られますが、数か月経てばまた同じ部位にしこりができ、何度も手術を繰り返すことがありました。

最近の流れは、皮膚側からの切開→摘出です。皆さん、「傷あとが残るのでは?」と不安に思われるかも知れませんが、ちゃんと皮膚の流れ(二重まぶたのラインや、しわのライン)に沿って切れば傷あとはしばらく経つと全然わからなくなります。特にお化粧をされる女性の方は更に心配いりません。

手術顕微鏡下で、しこりの範囲をしっかりマークし、ラインに沿って切開します。そうすると、しこりの正体が明らかにわかりますので、内容物と、可能なら被膜(内容物を包んでいる皮)ごと摘出します。その後皮膚切開部を丁寧に縫い合わせます(通常1糸から3糸です)。しこりの大きさにもよりますが、時間は15分から30分程度です。3日後以降に抜糸をします。

この方法が、個人的には一番理にかなっており、かつ患者様にも利益が大きいと思います。完全に摘出すれば、その部位からは再発しません。麻酔をする時はちょっぴり痛いです。そこだけご勘弁ください。そこを乗り越えれば、痛くありません。

一番困ってしまうのは、ずーっとほったらかしにしていて、もしくは炎症が超スピードですすみ、皮膚が紫色に壊死を起こし、破け、内容物が出ている場合です。更に、「明後日、結婚式があるから絶対治してくれ~!!」と懇願された日には(一度ありました…)、つらいっす(泣)。

この様な状況で皮膚側から切開すると、皮膚自体が薄くなって弱っているので、術後キレイにくっつかないことがあります。このような場合は、しこりの端の方の健常な皮膚から切開し、摘出を試みますが、どうしても皮膚が薄い部分を攻めきれずしこりが残ってしまう場合が多いです。勿論、残ってしまえば、炎症が引き、肌色の健常な皮膚に戻るのを待って、再手術ということになります。

という訳で、瞼(まぶた)にしこりなどを感じたら、早めに眼科を受診してください!

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