COLUMN 院長コラム

短期滞在手術基本料のご報告と、白内障手術時の角膜切開幅の変更について


いやはや、まっこと、ご無沙汰しております!!すっかり季節更新が板についてまいりましたが、今回は4か月も間隔が空いてしまいました・・。申し訳ございません!!

近況報告ですが、今年も10月8日、9日に地元のお祭り、「大津祭」が開催されました。今年はやけに観客が多く、盛り上がっているなぁと思っていたところ、過去最多の14万人が祭りを見に来てくださっていたそうです。非常に嬉しく思っております!

お祭りのときに長男と撮った写真を供覧いたします。私はビールを片手にしておりますが、お祭りということで堪忍してくださいませ。

ところで、報告が遅くなりましたが、今年5月より、月曜日、木曜日の当院手術日には、麻酔科専門医の先生に常駐して頂いております。それに伴い、日帰り白内障手術に関しては、「短期滞在手術基本料1」が算定可能となり、1割負担の方で2800円程、3割負担の方で8400円程の負担増となります。実際は、術前の血液検査代金が、短期滞在手術基本料に含まれるために、その分は負担減となっております。

白内障手術は、約10分で終了する安全な手術ではありますが、体調の万が一の急変などの可能性はゼロではございません。そのような場合でも、専門ドクターが対応できる体制となり、より、当院での手術の安全性・安心度が高まったものと確信しております!御理解の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

話は変わりますが、この11月の手術より、当院白内障手術時の角膜切開創(手術をするために作成する創)の幅を、従来の2.4mmから2.2mmに変更いたしました。まぁ、0.2mm小さくなったからと言って、大きな違いはないといえばないのですが、我々、眼科手術医に言わせると、この0.2mmにテクノロジーの進歩が凝縮されております。

単純に考えれば、創は小さければ小さいほど良いわけです。創幅がゼロに近づけば近づくほど、身体に侵襲を与えない理想的な手術といえます。しかしながら、創が小さくなればなるほど、眼内に挿入できる器具も当然細くなりますので、水晶体を処理する効率が落ちます。従来の2.4mmで手術時間が10分だったのが、2.2mmにして15分になったりすれば、その5分間分、余計に眼内と外界が交通していることになりますので、感染症のリスクが高まるとも言えます。すなわち、創幅と同様に、手術時間もゼロに近づけば近づくほど理想的な手術と言えるわけでございます。

今回、基本角膜切開創を2.2mmに変更した理由は、テクノロジーの進歩により、より細い器具を使用しても、効率が全く落ちることがなく、短時間で手術が終了できるようになったと確信したからです。

上の図は、水晶体を破砕する際にしようする超音波チップの断面を表しております。19G、20G、21Gとありますが、Gというのは「ゲージ」のことで、薄い膜状のものの厚みの単位です。1ゲージは1/100000 inch = 25.4/100000 mm = 0.254 μmとなります。

平成19年に当院に帰ってきた際は、19Gチップを使用し、角膜2.75mm切開で手術を行っておりました。昨年、新しい白内障手術マシーン(AMO社:ホワイトスター・シグネチャー号)を購入し、そこから20Gチップを使用し角膜2.4mm切開で手術をしておりました。この度、AMO社から正式に21Gチップが発売されたことに伴い、そのチップをメインで使用することに決定いたしました。断面を見ておりますと、チップ径の減少に伴い、チップ断面積が、どんどん小さくなっておりますね。つまり、この分、効率が落ちるわけでございます。

ここからがテクノロジーの進歩ですが、従来の超音波発振は、ピストン運動のように前後にチップが振動するだけでした。一回に削り取られる面積は、チップ断面積とほぼ同様ということになります。しかし、シグネチャー号は前後方向と同時に左右方向にもチップが振動するため、一回の振動で削り取られる面積は上図のように楕円形の面積となり、細いチップを使用しても、従来チップ使用時と変わりないほど水晶体を平らげてくれるわけでございます。

ちなみに、白内障手術マシーンの超音波振動とは、1秒間にどのくらい振動していると思いますか??

正解は約40000回です。もちろん、人間の目では確認できないほどの細かな振動でございます。

その他にも、21Gチップにしても効率が落ちない理由はありますが、ここまでで十分にマニアックな内容になってしまいましたので、今回はこれくらいにしておきます~。(^^;)

ほとんどの症例では、21Gチップを使用し、角膜2.2mm切開で手術を行いますが、非常に進行して、カチカチに固くなっている白内障などでは、20Gチップを使用することもあると思います。

以上のように、当院は医療の進歩に遅れず、最新最高の手術を提供できるように、日々進化を続けております!皆様、安心して手術を受けてくださいね。今後とも宜しくお願いいたします。