COLUMN 院長コラム

2010年上半期手術成績の公表と、新たな白内障手術マシーンの導入について

毎回の事ではございますが、光陰矢の如し・・・、前回のコラムを書いてから、早くも3カ月が経過してしまいました・・・。現在は梅雨時の真っただ中。昨日は非常に蒸し暑い夜で、寝苦しかったです・・・、さりとてクーラーをつけっぱなしで寝て、風邪をひかれる方も散見致します。体調管理の難しい今日この頃、皆様は如何お過ごしでしょうか?

早くも今年の折り返し地点を過ぎ、2010年度上半期手術成績を公開させて頂きました。お陰さまで、今年も昨年同時期より症例数が増えております。上半期で総手術件数427件、うち白内障手術が324件でございました。

今回、手術件数をまとめておりますと、その他の手術症例数が既に42件と、昨年同時期(20件)の倍以上となっております。これは、翼状片手術の増加と、鼻涙管閉塞症に対する涙管チューブ挿入術の増加に依る所が大きいです。特に翼状片手術は遠方からも手術を受けに来て頂く方が増えてきております。正直なところ、「途中にたくさん眼科があるのに、わざわざ、遠方から大津まで来て頂いて申し訳ない!」という気持ちもございます。遠方から足を運んで頂いた患者様の期待に、何とか応えようと、心をこめて手術をしております。言うまでもないことではございますが、お近くの方も心をこめて手術をしておりますので、御安心くださいませ!!

さて、医療機器の導入情報でございますが、つい最近、当院に新たな白内障手術マシーンがやってまいりました!AMO社のWHITESTAR SIGNATURE(ホワイトスター シグネチャー)号でございます。この器械は現在の世界最新マシーンの一つであります。特色はなんと言っても、ペリスタルティックポンプ(以下、ペリスタ)とベンチュリーポンプ(以下、ベンチュリー)という二つの異なる方式の吸引ポンプを搭載しており、かつフットスイッチ操作で自在に切り替える事が可能なことです。

まぁ、一般の皆さまにはサッパリ意味がわかりませんよね~。(^^;)

この2種類のポンプ形式の詳細な解説をすると、かなり専門的な内容になってしまいますので、ここではやめておきますが、簡単に両方式の特徴を述べますと、
ペリスタ方式:吸引圧(水晶体核を把持する力)を高く(強く)設定する事が可能。チップ(水晶体核を吸引する筒状の金属の棒)が閉塞するまでは吸引圧が上がらない
ベンチュリー方式:吸引圧をそんなに高く設定することは出来ないが、チップが閉塞しなくても常に一定の吸引圧が発生している
という事になります。現在までは安全性の面でペリスタ方式が主流でございました。今まで当院で使用しておりましたCV24000号もペリスタ方式でございます。勿論、ベンチュリー式にはベンチュリーの良さがあり、吸引圧を上げると手術は若干不安定ではありますが、効率よく水晶体核が寄ってくるので「じゃじゃ馬を乗りこなす」感覚で、好んで使用されるsurgeon(手術者)は今までもおられました。

最近の白内障手術創の小切開化及び、チップ径が細くなってきたことによって、ベンチュリー方式でも十分に安全な手術が可能になってまいりました。とは言え、最高吸引圧設定の高さはペリスタ方式には敵いません。という訳で、水晶体核をしっかり把持し分割するまではペリスタ方式、分割後、水晶体核を平らげる際にはベンチュリー方式という風に状況に応じて、一番良い方法を選択することにより、患者様に最高の手術を提供出来る器械が登場したというわけでございます!

最初にこの方式を発案し、実現したAMO社の技術者の方は素晴らしいと思います。2つの異なる方式を一つのマシンに収めることは、常人では考えも及ばないことです。

世界最新の白内障手術マシーン導入により、当院の白内障手術も安全性、効率性という面で、より一段グレードアップ致しました。今後も、患者様に最新の医療を提供出来るように、常に設備投資や最新技術の導入は怠らないように努力して行く所存でございます。