円錐角膜治療

はじめに

円錐角膜は若年者において視力低下を来す代表的な疾患で、多くは10代に発症し徐々に角膜が薄くなり尖ってきます。男性にやや多く、450~2,000人に1人程度は発症していると言われています。アトピー性皮膚炎の方は特に合併しやすいと言われています。
診断は角膜形状解析装置で比較的容易に行えます。

角膜形状解析のイメージ
角膜形状解析:正常
角膜形状解析のイメージ
角膜形状解析:円錐角膜

これまでは、ハードコンタクトレンズで視力を矯正し、かなり進行してしまうと角膜移植で治療を行っておりました。正直言いまして、ハードコンタクトレンズを処方した後は、進行していっても指をくわえて見ているだけで、ハードコンタクトレンズを処方しなおすということをしていたわけですが、ここ数年で、新たな治療法が登場しております。一つは、角膜クロスリンキングによる進行抑制。もう一つは、強膜レンズによる視力矯正です。それぞれについて、説明します。

治療法

角膜クロスリンキングについて

円錐角膜というのは、平たく言いますと、角膜の強度が弱くなり(頂点部が薄くなり)、重力に従って下方に垂れ下がってくるような状態になります。一般的には、10代より発症し、徐々に進行をしてきて20代で診断を受け、10~20年間進行し、そこから進行がストップします。

角膜クロスリンキングはリボフラビンという特殊な溶液を角膜に浸透させ、紫外線を照射することによって、角膜を硬くします。要するに、柔らかい組織をより硬い組織に変えることが可能になりますので、円錐角膜の進行を抑えることが可能になるということです。

従って、クロスリンキングを円錐角膜の初期に施行することが非常に重要になってきます。まだまだ、日本では認知度が低いですが、海外では、一般的になって来ており、逆にこういう治療法が出現しているのに、その選択肢を患者様に与えないということは、不勉強の誹りを免れない時代に入ってきております。

海外での治療実績は20年に及び、クロスリンキングの器械も改良を重ねられ、より安全性、患者様の負担が軽くなってきましたので、当院での導入を決意した次第です。

角膜クロスリンキングの適応

  • 進行性の円錐角膜
  • (LASIK術後)ケラトエクタジア
  • ペルーシド角膜変性
  • 角膜移植後の再発性円錐角膜

特に角膜の厚みが400μm以上ある人(=円錐角膜の初期)が効果的です。

角膜クロスリンキングの禁忌

  • 角膜上皮の修復異常(=重度の糖尿病や抗がん剤治療を受けておられる方など)
  • RK(放射状角膜切開)術後
  • ヘルペス性角膜炎
  • 妊婦

などとなります。円錐角膜でも角膜厚が400μm以下の方は角膜の濁りなど術後のトラブルの頻度が高まりますので、お勧めいたしません。

当院での角膜クロスリンキングの手術方法

従来、角膜クロスリンキングは角膜上皮を剥離して、リボフラビンを角膜実質に浸透させるのが主流でしたが、器機の進化により、角膜上皮を剥離しなくても十分な効果が得られるようになりました(Transepi CXL)。当院では基本、この方法で施行します。

角膜上皮を剥離しないことによって、何といっても術後の痛みが従来の方法より遥かに軽減されます。

治療は手術室ではなく、外来の処置室で行います。

  • 麻酔は点眼麻酔のみ。
  • 事前準備として、リボフラビンを浸したスポンジを何度か交換しながら30分間、角膜の上にのせて、リボフラビン溶液を角膜実質内に浸透させます。
  • 再度、角膜の一番薄い部分が400μm以上あるか確認し、紫外線照射を7分30秒行います。
手術の様子
  • 紫外線照射終了後は目を洗って、連続装用のソフトコンタクトレンズを載せて手術終了となります。
  • 術後はソフトコンタクトレンズを数日間はつけっ放しにし、術後点眼をしばらくさしてもらいます。
  • 術翌日からの洗顔や入浴の制限はありません。
手術の様子

角膜クロスリンキングの費用

税込価格
片眼 150,000円
両眼 300,000円

強膜レンズ ビューノ®Supreme(オフテクス社)

ビューノ®Supremeは株式会社オフテクスが2026年より販売開始した強膜レンズです。
強膜レンズは、通常のハードコンタクトレンズより直径が大きいレンズです。
ハードコンタクトレンズは角膜(黒目)の上にレンズが接しているコンタクトレンズですが、強膜レンズは名前の通り強膜(白目)の上にレンズが接しているコンタクトレンズになります。

強膜レンズ ビューノの様子
強膜レンズ ビューノの様子

「円錐角膜」や不正乱視など、普通のコンタクトレンズで矯正が困難な眼への治療法のひとつです。これまで主な治療法としてハードコンタクトレンズがありましたが、装用時の違和感や痛み、レンズがズレやすい等で継続装用が難しかった方でも装用していただく事が出来ます。
強膜レンズを使用する事で約80%の症例出角膜移植を回避できたという報告もあります。

Koppen C, Kreps EO, Anthonissen L, et al. ScleralLenses Reduce the Need for Corneal Transplants in Severe Keratoconus. Am J Ophthalmol 2018;185:43–7.

近年急速に広く普及され、処方が増加しています。
米国でも約7万人が強膜レンズを使用していると推定されています。

強膜レンズ ビューノの様子

スタッフが実際に装用してみての感想

最初はレンズが大きくてびっくりしましたが、実際にレンズを装用すると痛みもなく異物感もハードコンタクトレンズより少なかったです。
毎日のケアもつけ置きだけで簡単です。

強膜レンズの費用

税込価格
片眼 130,000円
両眼 260,000円