
レーザー白内障手術は2008年にヨーロッパで最初の手術が行われ、既に世界の最先端医療機関では50カ国以上で導入されています。
白内障手術は20世紀も半ばにさしかかった頃、第一の革命が起こりました。1949年、イギリスのリドレー医師が人工水晶体(眼内レンズ)を発明。更に、アメリカのケルマン医師が超音波乳化吸引装置を発明。これが、第二の革命です。この二つが合わさって、ここ20年程の間に、爆発的に術式が洗練されてきました。今回、このフェムトセカンドレーザーを使用したレーザー白内障手術が第三の革命であり、近未来のスタンダードな手術になるであろうと言われています。

フェムトセカンドとは、1000兆分の1秒のことで、光でも0.3µmしか進めない非常に短い時間です。フェムトセカンドにまで短縮したレーザーは非常に強いレーザー強度となり、工業用の微細加工などで用いられています。このレーザーを使用することにより、ミクロン単位の精度の手術が可能となります。
角膜の手術では角膜移植やLASIKのフラップ作成などで、従来から使用されていましたが、技術の進歩により、水晶体も切開可能なフェムトセカンドレーザーが登場しました。
従来のマニュアル手術

- すべての手術工程を医師の手で行なう
- 水晶体の分割などリスクが生じる
- レンズの中心がずれやすく、多焦点レンズの見え方が低下することがある
レーザー手術

- リスクの高い手術工程をすべてレーザーで行なう
- 難易度の高い工程をレーザーで行なうため、安全性が高い
- 多焦点レンズの効果を最大限引き出す
白内障手術が難症例と言われている方は、特にこの手術に向いております。
プレミアム眼内レンズ、特に多焦点眼内レンズを使用する場合は選択して、レーザー白内障手術をお受けいただけます。
この手術に向いておられない症例は、以下の通りです。
- レーザーを照射するためにサクションリングと呼ばれるリングを結膜に取り付ける必要がありますが、目を大きく開けられない方はリングを取り付けることが出来ませんので不適応となります。
- 白内障手術前に散瞳といって、点眼薬を使って瞳を大きく広げますが、人によっては、いくら点眼をしても瞳が大きく広がらない方がおられます。このように、散瞳時に瞳が大きく広がらない方はレーザーを正確にあてることが困難になりますので、レーザー白内障手術に適してません。
- 本来は透明組織である角膜が濁っておられる(角膜混濁)方も同様の理由で適しておりません。

従来の白内障手術では、当然すべての工程が術者の手で行われています。その場合、あくまでも感覚や感触に頼る職人芸となりますので、ほとんどの症例では何の問題もありませんが、水晶体の形状などにより、どうしても予期しない合併症を生じてしまう可能性があります。
レーザー白内障手術の場合、3D-OCTから得られた情報(瞳孔の大きさ、角膜と水晶体の厚みや位置など)から患者様の眼に合った精密な手術計画を立て、術者はそれをモニター画面上で確認しながら手術を行い、変更したい場合は各手術過程をタッチスクリーンで簡単にカスタマイズすることが可能です。そのため、より正確で精密な手術が可能となります。

水晶体に関しても、レーザーによって予め切開を入れることによって、水晶体を吸引除去する際の超音波時間を大幅に減らすことが出来、より目に負担のかからない手術が可能となります。傷口も小さく炎症も少なくなり、手術にかかる時間も短縮され、術後の早期回復が可能になります。

近年、乱視矯正機能のついたトーリックレンズ、遠近にピントの合う多焦点眼内レンズ(二焦点)に加え、遠中近にピントの合うトリフォーカル(三焦点)眼内レンズも登場し、これら付加価値のついたレンズを総称してプレミアム眼内レンズと言います。

LenSxのCCC

従来のCCC
プレミアム眼内レンズは、より正確に水晶体嚢内に眼内レンズを固定することによって、レンズの機能をフルに発揮可能です。そのために、レンズに合った大きさの前嚢切開(CCC) を瞳孔の中心に正確に作成する必要があります。

LenSx

従来

当院では、既に導入済のVERIONシステムとレーザー白内障手術マシンであるLenSxをコラボレーションさせることにより、世界最精密のレーザー白内障手術の提供が可能です。

- レーザー白内障手術は、フェムトセカンドレーザーを用いて角膜や水晶体の切開を行った後、別室に移動して頂き、そこで水晶体の吸引除去や眼内レンズを挿入します。自分で言うのも何ですが、熟練した術者である私・院長が通常の白内障手術を行うよりも、移動時間や諸々で、少々お時間が掛かりますことをご了承ください。
- 当院の通常のやり方での白内障手術では基本的に白目(結膜)に出血(結膜下出血)を起こすことはありませんが、レーザーを照射するためにサクションリングと呼ばれるリングを結膜に取り付け、吸引をかけます。この時白目に出血することがあります。出血は通常数日で吸収し、術後視力や手術の結果には影響ありませんのでご安心ください。
- レーザー白内障手術マシンは超精密器械であるため、定期的にメーカーの保守点検及びメンテナンスを行っておりますが、何らかの理由で急遽レーザーが正確に作動しなくなった場合、手術日の変更、もしくは通常の白内障手術に変更する場合があります。これはハイテクマシーンならではのデメリットとなります。
片眼 | 両眼 | ||
---|---|---|---|
単焦点眼内レンズ | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
多焦点眼内レンズ※ ◎術後3カ月間の 診療費込み |
乱視なし | 770,000円(税込) | 1,540,000円(税込) |
乱視あり | 825,000円(税込) | 1,650,000円(税込) |
片眼 | |||
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単焦点眼内レンズ | 330,000円(税込) | ||
多焦点眼内 レンズ※ ◎術後3カ月間 の診療費込み |
乱視なし | 770,000円(税込) | |
乱視あり | 825,000円(税込) |
両眼 | |||
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単焦点眼内レンズ | 660,000円(税込) | ||
多焦点眼内 レンズ※ ◎術後3カ月間 の診療費込み |
乱視なし | 1,540,000円 (税込) |
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乱視あり | 1,650,000円 (税込) |
2020年4月1日以降
※レーザー白内障手術は自由診療のみでの手術となります。選定療養で多焦点眼内レンズを使用する場合は、レーザーは使用しませんのでご了承ください。
- レーザー白内障手術はこれまでの白内障手術とは何が違うのですか?
- 詳細は上記「レーザー白内障手術のメリット・デメリット」をご覧ください。勿論、今までの白内障手術でも、熟練した術者が行う限りは十分に安全な手術ですが、フェムトセカンドレーザーを使用して白内障手術をすることによって、より正確に計画通りに手術することが可能になります。特に多焦点眼内レンズを使用する場合は、レンズのパフォーマンスを最大限に発揮できるような手術が可能になりますので、こちらをお勧めいたします。乱視矯正を含む、保険診療の白内障手術の場合は、熟練した術者が行う限りにおいては従来の白内障手術で何ら問題ございませんのでご安心ください。
- レーザー白内障手術は痛くありませんか?
- 通常の白内障手術と同様、点眼麻酔のみで行いますが、ほとんど痛みはございません。ただし、レーザーを目に当る前に、目が動かないように器具を眼球に押し当て、吸引をかけて固定ますので、その時に圧迫感は感じると思います。レーザー照射の際に痛みを感じることはございません。
- レーザー白内障手術は安全ですか?
- 眼球を完全に固定してレーザーを当てますので、緊張された患者様が突如眼球を動かしたことなどによる思わぬトラブルが減ります。正直、通常の白内障手術よりも安全です。ただし、レーザー照射のあと、移動して白内障(水晶体)吸引を行いますので、通常の白内障手術より時間が掛かることはご了承ください。また、あってはならないことですが、コンピューター制御のマシンになりますので、器機のトラブルにより突如手術が延期になる可能性がゼロではないこともご了承ください。
- レーザー白内障手術には保険がききますか?
- 通常の社会保険はききません。基本、完全自由診療です。ただし、民間保険で白内障手術をしたことで、手術給付金が出る可能性はあります。詳細は各保険会社にお尋ねください。
- レーザー白内障手術に年齢制限はありますか?
- ありませんが、当院は全身麻酔は不可能ですので、小児の方は不可能となります。ご高齢の方でも理解力があり、ベッドにあおむけに寝ることが可能ならば問題ありません。