COLUMN 院長コラム

日帰り外来手術について・2008年JSCRS報告

皆様ご無沙汰しております。早いもので、もう7月!一応コラム更新は月に1回を目標にしていたのですが、2か月もたっちゃいました・・。

まずは、前回のコラムで書いていた、「日帰り入院手術から日帰り外来手術への変更」について述べさせて頂きます。

昨年4月に本格的に診療を開始してから、当院での日帰り手術は「日帰り入院」という形で行っておりました。つまり、当日入院→当日退院という1日入院という形で請求をしておりました。当院は入院ベッドを有する有床診療所であり、日帰り手術でも、万一の際には1泊以上の入院に切り替える事が出来ますので、その方がわかりやすいと考えたのです。あと、生命保険に加入しておられる患者さんにとっては、そういう形のほうが、1日分でも入院扱いで支払を受けられる場合もあり、有利だと考えておりました。
しかし、高額医療費の還付制度(白内障の手術費用を参照ください)の観点から見ますと、これは「外来」でどれだけ支払ったかで、還付金が変わって来るため、手術の所だけ「入院」扱いになると、不利になることがあることが判明しました。

詳しくは社会保険庁の説明ページをご覧いただきたいのですが、簡単にいいますと、
「1か月の支払が入院によるものと、外来によるものにわかれた場合、医療費の額によっては、全て外来扱いになった時より還付金が少ない場合がある」
という事です。

入っておられる保険の種類や、年齢、所得によって条件は様々に変わるので、一概には言えないのですが、当院で手術を受けて頂いた患者さんで、お一人、そういう状況になり、疑問を呈して来られた方がおられたので、今回変更することに致しました。

患者様にとっては、何も変わることはございません。はっきり言って、無意味(?)な制度上だけのものです。ただ、行政としてもどこかで線を引かねばならないし、患者さんにとって、「入院は泊ってナンボ!」というイメージを持つ方も少なからずおられる為、日帰り手術は外来扱い、1泊以上の入院で入院扱いとした方がスッキリすると考えました。

今までと同じように、生命保険上、「日帰り入院」の方が良いという方は、仰っていただいたら、入院扱いで手術させて頂きます。いずれにせよ「質の高い眼科手術をご提供する」為に全力を尽くしますのでご安心下さい!

さて、話題を変えさせて頂きます。

6/20(金)~6/22(日)まで、東京国際フォーラムで行われた「日本眼内レンズ屈折手術学会」に参加してきました。私自身も「LASIK術後の白内障手術」という演題で発表を行いました。自分で言うのも何ですが、かなり新しい内容、かつ今後増加が確実に予想される症例の発表でしたので、質問も受け、そこそこ盛り上がったと思います!

今回の学会の注目の的は、やはり「多焦点眼内レンズ」の成績でした。結論から言いますと、
「概ね患者満足は得られており成績良好だが、老眼治療として万人に勧める治療ではなく、しっかりと医師側が症例を見極めて説明し、納得頂いた方にのみ施行する」のが良いという事です。

当院も、施行しております(多焦点眼内レンズによる老眼治療を参照ください)が、現時点では患者様の満足を得ております。ただ多焦点眼内レンズには、複数の位置にピントが合う構造ゆえの欠点がどうしても内在しております。それは「コントラスト感度の低下」です。言い換えると、(感覚的な言い方になり申し訳ないのですが、)「通常の単焦点眼内レンズに比べて、見え方のシャープさが劣る」ということになります。

新しい物が世の中に登場した時に、その欠点だけをクローズアップして見れば、誰もやろうとは思いません。複数の位置にピントが合い、眼鏡の使用頻度を大幅に減らすことが出来るというのは厳然たる事実ですし、実際に施行した患者さんも喜んでおられます。

当院では、その患者さんの希望にそぐえるのか、満足を与えることができるのかを冷静に判別し、しっかりとした説明を行って納得して頂ければ、施行する所存です。
近日中に当院ホームページを改装する予定です。是非ご期待下さい!